どんなものからも、建築は生まれる
六本木の森美術館で開催中の
建築家・藤本壮介さんの展覧会へ行ってきました。
会場に入ってまず圧倒されるのが、模型の数。
建築の発想の源となった素材とともに、マッチ箱や松ぼっくり、丸めた紙やポテトチップスまで、
所狭しと並べられています。
その間を歩きながら上を見上げたり、覗き込んだりしていると、
まるで「森」を散策しているような気持ちになりました。
藤本さんの建築には、
「ひらかれ かこわれ」という一見相反するテーマがあり、
その源泉は、故郷・北海道の森にあるそうです。
そういえば私自身も、野原や雑木林にいるとき、
街にいるときよりも多くの情報を受け取っている感覚があります。
その豊かさを、いつの間にか忘れていたなと、
展示を見ながらふと思い出しました。
また、関西万博の話題作「大屋根リング」を5分の1スケールで再現した模型も展示されており、
大阪に行かずとも、その世界観の一端を体感できるのは、とても貴重な機会でした。
藤本さんは映像の中で
「木造建築は、最も新しい建築」と語っていました。
人にとって心地よい素材は、昔から変わらない。
最先端を追い求めながらも、原点を忘れずにいることの大切さを、
建築という営みを通じて伝えてくれているように感じました。
最後の展示「未来の都市」も、心に残りました。
シャボン玉のような丸い空間がふわりと浮かぶ都市。
そこでは、人や動物や植物が、
自由でありながら響き合い、共に生きている。
まるで“森”のような都市です。
「未来の子どもたちに希望を手渡したい」
そんな願いが、静かに、でも確かに感じられました。
ばらばらであり、ひとつであり、
新しいのに懐かしく、
透明であり、不透明。
不規則や矛盾を包み込みながらも、温かく迎え入れてくれる。
建築の枠を超えて、
人と空間の関係そのものを問いかけてくるような展覧会。
優しさと愛が満ちていて、心が動きました。
今年観た展覧会の中で、文句なしのNo.1です。
…と、感動ポイントを一つひとつ書いていたら
ものすごーく長くなってしまいそうなので(もうなってますが💦)、
このへんで。
気になる方は、ぜひご自身の目で、体で、観に行ってみてください。
おまけの気づき:
帰り道にふと思いました。
組織づくりも、建築と似ているのかもしれません。
多様な個性が集まり、
「閉じている安心感」と「開かれている自由さ」の中でこそ、
本当の豊かさが生まれるのではないかと。
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